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TW2、TW3内にて活動中の若干うざったらしい性格の連中がそろい踏みするブログ。要注意。
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今のところ胡華とクレヴィーの性格を足して2で割ったような存在。
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ついに終わりが近づいているんだなぁ。
思えば私が能力者になったのって、中学1年生の時だったっけ。
あの時はまだ力の使い方なんてわかんなくって、
それ以上に自分の周りの事が解らなかった。

懐かしいもんだなぁ。


幼稚園に通っていた頃の事を一人勝手に思いだす。
私は早熟な少女だった。幼いながらに小学校高学年くらいの知識はあった。
数字が並んでいるのを見るのが好きで、でも子供らしくないと思って絵本が好きだと言っていた。
周りの同い年の子たちと比べて、自分があまりにも非凡であることを知っていた。
それを表に出せば孤立することを知っていた。
それでも私は他人と比べて少しばかり元気が良かったようだ。
何かと面白そうだと思ったことは行動に移してしまい、
失敗と成功を繰り返す私は幼稚園児にしながら既にいくつもの武勇伝を持っていた。
私の名前は、自分の知らない誰かにまで広まっていたようだ。

ある日のことだ。雨で、親の迎えが遅れていた。
私は暇つぶしに、習い事をしていた友人の弟の遊び相手をしていた。
つかまり立ちを覚えてすぐのその子は私がなにもしてなくても勝手に動き回る。
私は近づいてきた時にだけ遊んで、それ以外は彼の観察に時間を費やしていた。
そんな時に私に話しかけてきた子供がいた。
見覚えのない男の子だった。チョコレートみたいな色の目の男の子だった。
「はじめまして、こはなちゃんだよね」と笑顔で話しかけてきた彼は、緊張しているようだった。
「はじめまして、あなただれ?」と返した私は、彼に対してあまり興味もなかったのでそっけなかった。
彼は嬉しそうに自己紹介して――名前だとか、同じ組だとかそんなことだ――私の隣に来た。
なんでここに居座るんだろうと不思議に思ったが、とりあえず話だけは聞いた。
すると彼は何故か私の武勇伝とそれに対する評価を語り出した。
要約すると、「私はいつも明るく元気で行動力のあるカッコいい女の子」といったところか。
自分のことでもないのに目を輝かせて、べらべらと誉め言葉を並べられると気味が悪かった。
確か、私はそれに対して過大評価だと伝えたはずだ。子供らしい言葉で。
私は明るくないし、どっちかというと変わり者だ。行動力については認めるが、カッコいいとは思えない。
それでも彼の評価は変わらなかった。
それどころか彼は私を高見の存在のように扱うのだ。
話は彼の親が迎えに来たことで残念ながら中断されてしまったが、私は彼についてを考え直した。
思えば彼は「まだ子供」だ。思ったことは直ぐに口に出してしまう無垢な存在なのだ。
あれらの賛辞全てが彼の心からの言葉ならばなんと恐ろしいことだろうか。
私は彼に興味を持った。

次の日から、私は彼を観察することにした。
彼はいつも部屋の隅で一人絵を描いていた。
誰かと遊ぶわけでもなく、誰かに話しかけられるわけでもなく、
時折誰かに目を向けて寂しそうにしていた。
どちらかと言えば彼は内向的な性格のようで、口数も少なく、友人らしい友人もいない。
しかしながら、私が話しかけるとあの日と同じように目を輝かせるのだ。
恐らく私は彼にとって最初の友人なのだろう。仕方なく接してやる。
彼の隣は意外と居心地が良かった。私は彼の前でだけ、少しだけ自分を晒せた。
いつからか、彼は私にとって本当の友人とまで呼べる存在となっていた。

出会って1年ほど。七夕の近い雨の日。
短冊に「将来の夢」を書く周りの子たちをよそに、私は悩んでいた。
子供らしい将来の夢とは何だろうか。
本当のことを言うと私は弁護士か検察官になりたかった。
裁判って楽しい。真実も大嘘も全部己の手腕によってひっくり返せる。
けど、子供らしくない。だから必死になって悩んでいると先生が話しかけてきた。
「胡華ちゃんは何になりたいのかな?」……それを悩んでるんだ、それを。
しかしそう言い返すこともできず、近くにいた子の短冊に書かれていた単語を読み上げた。

「およめさん」

実に情けなかった。この単語は私にとって最も関係のないものだろう。
先生が離れた後に落ち込んでいた私に話しかけたのはいつものあの少年だ。
彼は私のあの発言をどうやら真に受けていたらしく、可愛い夢だと笑っていた。
すぐさま訂正を入れないと私のプライドが許さない、そう思っていた。
口を開こうとして、彼に先を越されてしまった。

「それじゃあ、ぼくはこはなちゃんをせかいいちきれいなおよめさんにしてあげるね」

にっこりと、無垢に答えた彼を見て、私は言葉をなくした。
この時点で、彼の純粋すぎる思考回路は憧憬を超えて畏敬の念さえ感じるほどだった。
言葉を亡くした私は将来の夢を弁護士からお嫁さんに移行する。
世界一の綺麗なお嫁さんになるにはそれなりの努力というものが必要で、
おかげさまで今、私は料理は人並みに作れ家事雑事も難なくこなせるようになった。
勉強なんて出来た所で役に立つことなど一握り。
彼のおかげで私は生活力をそれなりに手に入れていた。
彼とは幼稚園で別れた後に、中学で再会したのだが……
その後互いの人生を変えるほどの劇的ストーリーを経て今に至る。

彼はというと、私と違い戦う事なんて知らないまさしく「一般人」だ。
今頃きっと私を「世界一のおよめさん」にすべく、
ウエディングプランナーを目指して日夜勉学に励んでいることだろう。
どうして私を嫁にするとかその辺言ってくれないのかなぁ。
……彼の間違った努力に口出しできない私は、仕方なく彼の世界を守るのだ。
どこにでもいる彼が非凡な私の在り来たりな夢を叶えてくれるために、私は戦わざるを得ないのだ。
今更ながら、私はつくづく彼に頭が上がらないものだと笑ってしまう。
真剣に純粋に何かに取り組む彼を見てるのはとても楽しくって、嬉しい。
そう考えられるようになったのも彼のおかげなのだと考えられる自分が愛しい。
久し振りに地元に戻って、彼が必死に受験勉強に励む姿を見てこようか。
気付かれたら思いっきりからかって、普段味わえない平穏を肌で感じるのだ。

 ひと
他人はこれを、恋と呼ぶ。
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