そして、魔女は倒され。
その背後に蠢いていた悍ましきものは撃ち滅ぼされた。
世界に平和が訪れて、人々はみな幸せに暮らしました。


めでたしめでたし。

『黒い毛皮の中の、真っ白な真珠』

如何にこの身が汚れようとも、穢されようとも、
わたしが拗じくれ歪んでしまおうとも、
心の純潔だけは、守りぬいて見せるから。

――そうすれば良いのでしょう、父さん。

ふわりと、

棚引く純白を汚さぬようにと摘みあげて、
慣れない「歩く」という行為に意識を奪われる。

薄布と共に頭を飾った花がずれていないかを
通り沿いに並ぶ店先の硝子で確認して、
赤いヒールを鳴らして石畳の街を進んで、湖へ。

『さてさて、いよいよ明日』
『ボクにとっては初めての戦闘系依頼の出発だ』
『こんな事言っちゃなんだけどエンディングで見えたカップルはどうでもいい』
『申し訳ないがイチハちゃんの危機よりは』
『あの仮面に捕らわれた少女達がどう変貌するかが楽しみだ』
『必要なのはだれがどうやって幸福を得るかを見ることだ』
『基本的に絶望ばかりに目を奪われる今日この頃で』
『如何に自分が盲目であったかを悟ることは素晴らしいと思うんだ』

『まあまあ、ともあれ明日』
『ボクは彼ら彼女らを面白おかしい演技で焚きつけ』
『仲良しこよしの仲間達と共に好き放題暴れてくるわけだ』
『せいぜい野郎どもの裸を見ないで済むように』
『火力の調整だけ今からやっておこうか』


※要約すると「どうしようみんなと出掛けるのすっごい楽しみ！」と言う事らしい。
　遠足前日の幼稚園児のような無邪気なクインさんの仮プレは続きから。

薔薇は赤い。
スミレは青い。
それなら黄色は何の色？

お姫さまは王子様のキスで目覚め、
悪い魔女は火あぶりにして殺してしまえ。
悪くなくても火あぶりになるんだもの。
眠りの城も茨の森も、どっちにしたって同じ道。


メアリ、メアリ、君はそれでも欲しかったのかい？
（ああ、私はそれでも、欲しかったんです）